2021年6月14日
放電加工の代表的な加工方法の一つであるワイヤー放電加工。
放電加工とは一般的な刃物で金属を加工する方式に対して、電気エネルギーを利用して金属を加工する方法です。
基本的には、油や水などの絶縁体の加工液の中で、電極と通電性のある被加工物の間で
短時間のパルス性放電を繰り返し発生させることで生じる火花により、加工物を溶かしながら電極の形に彫り込む加工方法です。
今回は、その放電加工の一つであるワイヤー放電加工の特徴と当社が製作した製品についてご紹介致します。
□ワイヤー放電加工とはどのような加工方法?
ワイヤー放電加工とは、別名ワイヤーカット加工と言われる放電加工の一種で、
真鍮などのワイヤー線に電流を流して加工物を溶融させながら切断する加工方法です。
ワイヤー線には、主に真鍮製のワイヤー線が使用されますが、タングステンやモリブデン製の電極線もございます。
ワイヤー放電加工は、鋼板、ステンレス板、銅板、アルミ板などの薄く、加工が困難なものから、
超硬素材のような、硬い金属まで関係なく、導電性のあるものであればどんなものでも高精度で加工することができます。
そのため、様々な製品の金型部品、家電製品、輸送機部品など、日常生活の中でも使われている製品を製造するために使用されている加工方法です。
□ワイヤー放電加工の特徴とは?
ワイヤー放電加工の特長として、①導電性のある材料であれば加工可能②高精度加工が可能③テーパー加工も可能などが挙げられます。
①導電性のある材料であれば加工可能
ワイヤー放電加工は、加工時に局所的に発生する6000~7000度もの高温によって加工する方法です。
一方、地球上で最も融点が高いとされている材料でも約4000度です。
そのため理論上では、導電性がある材料であればどんな金属材料でも加工可能というのがワイヤー放電加工の大きな特長です。
したがって、ワイヤー放電加工では、一般的な鋼板、ステンレス、銅、アルミなどの材料から、
超硬、インコネル、さらには多結晶ダイヤモンドまで、様々な材料の加工に使用することが出来ます。
また、切削加工の場合においては、薄板の切断や、超硬材料の加工は非常に困難とされています。
しかしワイヤーカットでは、薄板から200mm以上の厚みのある材料まで、材料の硬さに関係なく加工することが出来るのです。
②高精度加工が可能
ワイヤー放電加工は、ワイヤー電極線と工作物が非接触のまま加工されますが、
ワイヤー線の太さがφ0.02~0.3mmということもあり、切り代としては約0.3mm以下という加工幅になります。
つまり、切削加工では加工が難しい材料で合っても、ミクロンレベルという高精度加工が可能というのが、ワイヤー放電加工の2つ目の特長です。
工作物の寸法が小さい場合は、寸法公差±0.003mmという精密加工も可能となります。
また、バリがでないため、高精度かつ作業を短縮することが可能となります。
③テーパー加工も可能
ワイヤー放電加工では、直線や曲線といった平面加工だけでなく、工作物に角度をつけて加工するテーパー加工も可能です。
そのためワイヤー放電加工では、直線的な切断だけでなく、直線と円弧を組み合わせること難削材の高精度複雑形状を実現することができます。
上記の3点以外にも、ワイヤー放電加工に使用されるワイヤー線は比較的安価な真鍮製のワイヤーを使えるので、消耗品のコスト削減にもなります。
また、ワイヤー放電加工は加工速度が他の加工方法と比べると少しずつ工作物を溶かしながら切断するため、加工スピードは決して速くありません。
さらにワイヤー線は垂直に張られるので、水平方向並びに底のあるワークへの加工は出来ません。
したがって、量産向けの加工より精度が求められる加工で選ばれることが多いです。
部品の海外調達コストダウンセンターを運営する近代精機株式会社では、対応レベルが国内とそん色のないレベルの製作精度・品質を実現でき、
かつ短納期対応やトラブルに対応できるように24時間操業の工場を外注先として選定することができます。
そのため、ワイヤー放電加工を用いた加工品の量産品の製作も可能でございます。
取引先を厳選することで、お客様と取引先とのより密なコミュニケーションを実現し深い信頼関係を築くことが可能です。
当社では、おすすめの調達先のノウハウについても記事にまとめておりますので、ぜひご一読いただければと思います。
□当社のこれまで海外調達を行った部品加工事例をご紹介!
ここでは近代精機株式会社がこれまで海外調達を行った部品の加工事例をご紹介します。
加工事例①:プレート
こちらのプレートは、旋盤加工後にワイヤーカットで割りました。
表面処理として窒化処理を施し、Hv320以上の硬質を実現しております。
加工事例②:ホルダー
精度は座グリ穴+0.05,0.10です。
スリット部はワイヤーカットにて加工しました。
またカニゼンメッキで熱処理をしています。
加工事例③:アーム
こちらは材質がSUS304のアームです。
こちらは機械加工をした後に、ミスミ製の規格物のピンを購入のうえ溶接しました。
また、通常は順番が逆となりますが、溶接の範囲が狭いため生産性を重視して溶接を後に実施し、最後に盛り上がった部分を仕上げております。
部品の海外調達なら「部品の海外調達コストダウンセンター」まで!
部品の海外調達コストダウンセンターを運営する近代精機株式会社では、安全・安心のワンストップ海外調達を実現します。
当社は大手Tier1、装置メーカー、電気機器メーカーなど、上場企業との取引実績も数多くあり、これまで多くの海外部品調達を行ってまいりました。
当社には、中国・ベトナムなどアジア圏に10年以上の長きに渡る取引を経た協力会社があります。長期的に深い信頼関係を築いた取引先との連携によって、国内調達と変わらない製作精度・品質保証を実現しています。
さらに、この協力会社との密な連携によって、海外調達における課題である短納期対応やコミュニケーション不足によるトラブルについても対応することができます。
また、当社ではISO9001認証を取得しており、国内調達できる部品は全て海外調達が可能となっております。鉄、鋳物、特殊鋼、樹脂など多数の材質や旋盤加工、溶接、熱処理など幅広い加工方法での対応ができます。もちろん、加工精度についても研削加工で0.005、高速ワイヤーカットで0.05、低速ワイヤーカットで0.005、マシニング゙加工で通常±0.02 程度を保証させていただいております。
部品の海外調達について「品質・精度は大丈夫なのか…」「対応できる加工種類・表面処理方法に限りがあるのでは…」「納品に時間がかかるのでは…」「むしろコストがかかってしまうのでは…」とご不安をお持ちの方は、ぜひ部品の海外調達コストダウンセンターまでお気軽にご相談ください。